12の精霊核

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--. intermezzo 6(夢の中の真実)

 シメオン大聖堂の崩れかけた湿気った地下室にあった久須那の絵が実はあたしたちが運んできたなんておかしな気持ちがした。因縁とでも言うのかな。不思議なつながり。あの絵はずっと昔、十二の精霊核の時代からずっとあそこにあると思っていたのに、違ったんだね。時の流れというのは切ない感性を呼び覚ますモノなんだね。複雑怪奇に絡み合っているんだね。
 そんなことを感じながら、あたしは1292年での数日を過ごした。
 リテール歴5年、1292年、そして、1516年。三つの時代を股に掛けたマリスと迷夢たちとの戦いの物語。それが“十二の精霊核の伝説”なんだとようやく判った。教科書に載っているような綺麗事の物語じゃなかったんだ。骨肉の争い。とまでは行かないけれど、みんながそれぞれの信念を貫いた結果のことだったんだ。迷夢は異界とここがグチャグチャに混ざり合うのを許せなかった。マリスはきっと、淋しかったんじゃないかな……。マリスを本当に、心の底から理解してくれる誰かを天使の中に求めようとしていた。それはレイヴンじゃなかったんだ。
 そう言えば、あたしはさっき、夢を見た。書いてる途中にうたた寝をしちゃったみたい。疲れてるのかなぁ? 元気だけが取り柄のあたしなのに。そう! それは遠い遠い子供の頃の夢。……と言っても、あたしもまだ、エルフとしては十分子供なんだけど、この際、関係ないか。父さんと母さんに抱かれて、暖炉の前で、お話をしながら、みんなで笑っていた。お菓子を手に取ったり、紅茶を飲んだり。あたしはホンの赤ん坊で揺りかごの中で母さんにあやされていた。楽しかった思い出。懐かしい思い出。――全部、終わったら、また、あの時のようになれるかな。もう一度、静かさを手に入れたらもう二度と放さない。

二回目のLeo 25, 1516 誰にも見付からないように遺跡の隅っこでキャンプ。セレス