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遥と巡の駅の旅 JR北海道・留萌本線
留萌本線 留萌本線・本線を名乗るJR線の中で二番目に路線距離が短いんだって

 深川を起点にして、留萌を経由、増毛まで至る路線です。本線を名乗る鉄道路線で、何と二番目に短いそうです。でも、これはJR線で……だから、JR北海道に限って言えば、一番短いってことだよね。全長66.8km! 留萌本線の支線だった羽幌線の141.1kmの半分以下の路線長でした。その留萌本線は天塩地方随一の良港として栄えた留萌港への石炭や木材、海産物等の輸送のため、北海道鉄道敷設法に規定する予定線として建設されたもので、1910年に留萠まで、1921年に増毛まで全通しました。また、羽幌線の一部(留萠駅 - 古丹別駅間)も留萠線として開業しています。ちなみに、"留萠駅"は現在、改称されて"留萌駅"になっています。

 

駅番号 営業キロ 駅名 読み方 電略 ホーム 駅構造 所在地 開業日 備考
A24 0.0 深川駅 ふかがわ フカ 3面4線 地上駅 深川市1条 1898年(明治31年)7月16日 社員配置駅、みどりの窓口
  3.8 北一已駅 きたいちやん キイ 1面1線 地上駅 深川市一已町 1955年(昭和30年)7月20日 無人駅
  8.8 秩父別駅 ちっぷべつ チツ 1面1線 地上駅 雨竜郡秩父別町2条 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  11.2 北秩父別駅 きたちっぷべつ キヘ 1面1線 地上駅 雨竜郡秩父別町6条 1956年(昭和31年)7月1日 無人駅
  14.4 石狩沼田駅 いしかりぬまた マタ 1面1線 地上駅 雨竜郡沼田町北1条3丁目 1910年(明治42年)11月23日 簡易委託駅
  17.8 真布駅 まっぷ マフ 1面1線 地上駅 雨竜郡沼田町字沼田 1956年(昭和31年)7月1日 無人駅
  20.7 恵比島駅 えびしま エヒ 1面1線 地上駅 雨竜郡沼田町恵比島 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  28.3 峠下駅 とうげした トタ 2面2線 地上駅 留萌市大字留萌村字峠下 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  34.5 幌糠駅 ほろぬか ホヌ 1面1線 地上駅 留萌市幌糠 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  40.0 藤山駅 ふじやま フヤ 1面1線 地上駅 留萌市藤山町 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  44.2 大和田駅 おおわだ ワタ 1面1線 地上駅 留萌市大和田3丁目 1910年(明治43年)11月23日 無人駅
  50.1 留萌駅 るもい ルモ 2面2線 地上駅 留萌市船場町2丁目 1910年(明治43年)11月23日 社員配置駅、みどりの窓口
  52.2 瀬越駅 せごし コセ 1面1線 地上駅 留萌市沖見町1丁目 1926年(大正15年)7月1日 無人駅
  56.2 礼受駅 れうけ レウ 1面1線 地上駅 留萌市礼受町 1921年(大正10年)11月5日 無人駅
  57.5 阿分駅 あふん アフ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町阿分 1963年(昭和38年)12月1日 無人駅
  60.2 信砂駅 のぶしゃ ノフ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町信砂 1963年(昭和38年)12月1日 無人駅
  61.0 舎熊駅 しゃぐま クマ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町舎熊 1921年(大正10年)11月5日 無人駅
  62.7 朱文別駅 しょもんべつ ユモ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町舎熊 1963年(昭和38年)12月1日 無人駅
  64.0 箸別駅 はしべつ ハヘ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町箸別 1963年(昭和38年)12月1日 無人駅
  66.8 増毛駅 ましけ マケ 1面1線 地上駅 増毛郡増毛町弁天町 1921年(大正10年)11月5日 無人駅

 

深川(ふかがわ)駅
深川駅

●深川駅・留萌本線、始まりの地

巡「留萌本線の起点、深川駅に降り立ちましたぁ」
遥「たった今?」
巡「そう、たった今」
遥「車で?」
巡「そう、車で」
遥「そんなの邪道よね。やっぱり、鉄道駅は鉄道で巡るべきよね?」
巡「それ、姉さんが言っちゃう? 朝から『汽車に乗り遅れたっ!』って騒いでたの誰だよ?」
遥「あたしはそんなことイッテイナイヨ?」(ケロッとした様子で)
巡「……。……。列車もいいけど、車も好きってことでしょ。暇さえあれば、ドライブ、ドライブって。
  え~、まあ、いいや、そこは敢えて触れない方向で。何か、睨んでるし」
遥「と言うことで、深川でっす」(遥、巡をジロジロ)
巡「あ~はい。深川ね、深川。じゃあ、ノートの方に移動しま~す」


駅名標・深川
 駅付近に到着するとこの街は駅の開業とともに発展して、市街地が形成されていったんだろうなと言うことがよくわかります。が、どの街も同じような問題を抱えるように駅を中心とした商店街には淋しさが漂っておりました。元気なのは近くのパチンコ店のみで、客待ちのタクシーも少なかったです。また、駅前のロータリーや歩道は最近(2011年現在)、新たに整備したようで、とてもステキにキレイでした。
 深川駅は北海道官設鉄道上川線の駅として1898年(明治31年)7月16日に開業。のりばは駅舎側から順に1、3、4、6番線。2、5番線はホームを持たない中線で、2番線は主に貨物列車の待避用、5番線は留萌本線運用車両の留置で使われています。かつては、深名線運用車両の車庫や転車台などの設備も備えた鉄道の要衝でした。そのため、深名線の一部とイベント列車の発着用に7番線まで存在し、多数の側線をもっていました。しかし、深名線の廃止後は側線や施設などが撤去されて規模が縮小されて現在に至ります。また、臨時特急"旭山動物園号"を除く全ての特急列車が停車する駅でもあります。
 
北一已(きたいちやん)駅
北一已駅

●北一已駅・北海道の原風景

遥「やってきました北一已。早速だけど、駅ホームの目の前が水田です。水田しかありません!」
巡「それはちょっと失敬でしょ、姉さん。駅の近くにお住まいの方が何世帯か……」
遥「でも、きっと、ここの人はこの駅をツカッテイナイヨ?」
巡「いや、それとこれとは別の話だと思うけど。あ~い~んだ、ボクは知らない。何も聞かなかった」
遥「まぁ~た、都合の悪いことになるとすぐ、耳をふさぐんだから、この子ったら!」
巡「でも、駅の雰囲気はとってもいいと思うよ」(話題をそらして)
遥「……入口に蜘蛛の巣がはっていますわよ? それでも?」
巡「あ〜いや、ま〜。改札があるのでもないから、お外から優雅にホームに行けば……。あははっ」
遥「あははじゃないでしょ、あははじゃ」(ため息)


駅名標・北一已  周辺には数軒の民家と広範囲に広がる水田だけ。駅の近くにまで来る道路は舗装されていますが、駅の敷地内に入り込むと写真のとおりに未舗装で、雑草がのびのびとしていました。(流石に定期的に刈られているようですけど)駅舎は古く"昔の鉄道"の雰囲気を醸しだしています。これで、出入口に蜘蛛の巣が張っていなければ完璧だったんですけどね。そして、正確な資料がありませんが、この建物は開業当初より使われてきたものだと思われます。
 1955年(昭和30年)7月20日付けで日本国有鉄道の駅として深川と秩父別間に新設されました。開業当初は北一己(きたいちゃん)でしたが、1997年(平成9年)4月1日付けにて北一已(きたいちやん)に改称しました。元々の語源はアイヌ語で鮭や鱒が産卵する場所「イ・チャニ」から。
 
秩父別(ちっぷべつ)駅
秩父別駅

●秩父別駅・通勤、通学の風景

巡「駅前には自転車が山ほど止められています」
遥「きっと、通勤、通学に使っている人が多いんだわ」
巡「うん、そうだね。北一已駅とは違って駅の周辺が大きな集落になってるもんね」
遥「で?」
巡「え? で? って、言われても……。姉さんこそ何かないの?」
遥「あたくしに何かあると思って?」(真顔で)
巡「え〜と。思ったことを声に出しても怒らない?」
遥「怒らないわよ。あたしを誰だと思っているの。キミの優しい優しいお姉さんなのよ」
巡「いや、それはちょっと、どうかと……」(こわごわ)


駅名標・秩父別  2007年(平成19年)に全国的に有名になった出来事がこの駅で起きました。増毛発、深川行き普通列車(キハ54)に乗ろうとした乗客約55名のうち26名が駅に置き去りにされてしまい、置き去りにされた乗客はタクシーにて深川駅まで代行輸送したというもの。問題の気動車キハ54は座席数68、立ち乗りを含めて定員は約120名。秩父別駅到着時、乗客数は約60名。定員ぎりぎりで全員乗れるかな? と言うところ。乗務員、乗客が協力したら全員乗れたような気がするのですが、実際は90名程度を乗せて、残りの26名は置いてきぼり。時間帯からして通学生が多いので"高校生のマナーが悪い"とか、"臨機応変に対応できないJR北海道が悪い"とか当時はあちらこちらで物議をかもしました。が、こちらは事件の検証頁ではないので詳細は省きます。
 秩父別駅は1910年(明治43年)11月23日に日本国有鉄道の筑紫駅(ちくしえき)として開業し、1954年(昭和29年)11月10日 に 秩父別駅に改称しました。秩父別町の中心駅で、主に深川の高校に通う高校生が通学に使っているようです。そのためか、写真のように駅前に自転車がたくさん止められています。
 
北秩父別(きたちっぷべつ)駅
北秩父別駅

●北秩父別駅・深川留萌自動車道が近くに走る小さな駅

遥「……。駅……?」
巡「駅だね。国鉄からJRになった直後に仮乗降場から駅に昇格したところだからね。
  施設は限りなく簡便に、お金をかけずに設置してみました。お客さんがいるから。という感じらしいよ。もともとは」
遥「でも、きっと、今もお客さんはイナイヨ?」
巡「まあ、ざっと見渡して、近くにあるが高速道路だけだから、姉さんの言うとおりだろうねぇ」
遥「じゃあ、何で駅がアルノ?」
巡「え? ——。え〜、それは考えてはいけないことになってます」
遥「はぁ? 真面目に頼みますわよ。キミはあたしのブレインくんなんだから」
巡「じゃあ、ボクがブレインなら、姉さんはノウナシってことでよろしいでしょうか?」
遥「言いたいことはそれだけかしら?」(ニコニコ)


駅名標・北秩父別  北海道には比較的、こういう場所が多いのですが、田園地帯のど真ん中にあります。仮乗降場としてこの駅ができた頃は存在する意味がしっかりとあったのでしょうけど、今は周辺に集落も民家もなく、誰が使っているのか(使っている方はいるとは思いますが……)イメージしにくいですね。また、駅と言っても、小さな待合室と木製のホームだけで、ひっそりとした味わいがいいところです。ちなみに、2003年(平成13年)に駅の裏手に高規格幹線道路(国道233号線)、通称・深川留萌道の一部が開通しました。が、もちろん賑やかしに貢献するわけもなく、車が通り過ぎていきます。
 この駅は1956年(昭和31年)7月1日に日本国有鉄道の北秩父別仮乗降場として開業。1987年(昭和62年)に国鉄分割民営化の際にJR北海道に継承されると同時に駅に昇格しました。
 
石狩沼田(いしかりぬまた)駅
石狩沼田駅

●石狩沼田駅・かつては札沼線の分岐点

巡「もぉ~、何か文句があるたびにいちいち殴らないでよ。暴力反対っ!」
遥「暴力ではありません。教育的指導です」
巡「あ~あ~、だいたい、こう言う人はへんてこなことをサラリと言っちゃうんだよ(ぶつぶつ)
  それにしても、ここも駅前に自転車の多い駅だねぇ」
遥「秩父別駅と同じなんでしょうね。きっと、ここから深川の学校に通学してるんじゃないかしら」
巡「そう考えるのが妥当な線だろうね。そして、遙か昔はこの駅から、札沼線が分岐していました。
  札沼線の名前の由来の一部だね。沼田の"沼"と札幌の"札"」
遥「うん。で、今はどうなってるの?」
巡「そこは姉さんが答えるべきところだと思うんだけどなぁ。ボクは」
遥「あたしはイヤよ」(きっぱり)
巡「イヤって……そんな。あ〜。たまにお答えになりませんと、お姉様の出番がなくなっちゃうよ」
遥「それもイヤだし、どっちもイヤ。だから、そこのところをキミが何とかするの!」
巡「えー! ……理不尽もここに極まれり。サイテーだ」(がっくり……)


駅名標・石狩沼田  1972年(昭和47年)までこの駅から札沼線が分岐していました。元々、札沼線は桑園-石狩沼田間、111.4kmありましたが、1972年に新十津川-石狩沼田間が廃止され、現在に至ります。駅に入ると窓口が営業中。北海道内のローカル線では駅で切符を売ることは少なくなっているので大変珍しいです。そして、駅舎を抜けて行くと、1面1線のホームがありまして、かつて使用されていた1面2線の島式ホームにはプランターが並んでいてお花が咲いている上に駅名標が綺麗に残っています。使わなくなってしまった施設はボロボロにしてしまう駅も多いので、この駅は周辺の住民さんや駅を管理する人たちに大事にされているのですね。
 ちなみに、石狩沼田駅は1910年(明治42年)11月23日に官設鉄道沼田駅として開業。1924年(大正13年)に当時の国鉄・上越線に沼田駅が開業したので、石狩沼田駅に改称。1935年(昭和10年)に札沼線開業。その後、1944年(昭和19年)に太平洋戦争のため、不要不急線として札沼線休止し、1956年(昭和31年)に札沼線が営業再開。そして、前述の通り、1972年(昭和47年)に札沼線の新十津川-石狩沼田間が廃止になりました。今では小さな田舎の駅ですが、紆余曲折、様々な歴史が刻まれているんですね。
 
真布(まっぷ)駅
真布駅

●真布駅・屋根の高い待合室があるよ

遥「北海道って"なんとかまっぷ"ってつく地名が意外と多いよね」
巡「そ、だね。まっぷって、アイヌ語での一部分だから、かなりあちこちにあると思うよ」
遥「あるんですか〜ぁ? ……。例えば?」
巡「例えば?(ちょっと驚いて)例えば……。この近くで言えば、タルマップ……かな」
遥「樽真布? 樽の地図?」
巡「何でわざわざおかしな日本語訳をするのかな」


駅名標・真布  ここもまた、水田地帯の真ん中にあります。そして、民家も見渡す限りなさそう……と言うほどまでではなくて、視界に入るだけでは数件はありそうです……。あ、写真を撮ろうとしていると水田農家を営んでいるようなヒトの軽トラックが通り過ぎて行きましたので、それほど遠くはない駅のご近所さんに住んでいる方もいるのでしょう。それにしても、以前は沼田第5地区と真布地区の学生さんの多くがこの駅を利用していたようですが、今はその気配の欠けらもないようです。また、見渡す限りの水田では良質のお米が取れるそうですよ。駅名の由来は「シルトゥルノシケオマップ」(山の中央の間の川)の後半に当て字をしたものから。
 真布駅は1956年(昭和31年)7月1日 に 日本国有鉄道の真布仮乗降場として開業。1987年(昭和62年)に国鉄分割民営化の際にJR北海道に継承されると同時に駅に昇格しました。
 
恵比島(えびしま)駅
恵比島駅

●恵比島駅・NHK連続テレビ小説"すずらん"明日萌駅

巡「留萌本線、恵比島駅。こちらはNHK連続テレビ小説"すずらん"で使用された"明日萌駅"としても有名です。
 さて、建物が二つ、写真には写っていますが、どっちが本物の恵比島駅でしょうか!」
遥「見たことない」(ブスッとして不機嫌そうに)
巡「え?」
遥「"すずらん"なんて、見たことないっ!」
巡「じゃあ、勘で、テキトーに言ってみて?」
遥「――。左側のちゃんとしたやつじゃないの?」
巡「ブブーっ! はずれ~。右側の物置みたいな方だよ。よぉく見ると、改造された車掌車にとなりの建物とマッチングするように
 板が張られているんだよね」
遥「……。何か、その言い方、非常にむかつくんですけど……!」(腕を組んで)
巡「じゃあ、一回で正解を叩き出してください」
遥「むぅ! それができないから言ってるんじゃないの。このわからんちん!」
巡「いや、何、それ。と言うか、何か、やばそう。あ~あ~、では、次回からもうちょこっとだけわかりやすい方向で、クイズにしようっ」


駅名標・恵比島  
 
峠下(とうげした)駅
峠下駅

●峠下駅・列車交換ができる山深い静かなところ

巡「と言うことで、クイズです」
遥「はぁい」(ちょっぴり面倒くさそうに)
巡「では、問題です。この駅のように二つの単式ホームを互い違いに配置して、構内踏切でつないだホームの形式を何て言いますか? 
 これは知ってるでしょ?(^^)仮にも鉄オタの遥なんだから」
遥「うるさいわね……。え~と……。千鳥足? だっけ?」
巡「近いけど、酔っ払いじゃないんだから。と言うか、何で足がくっついたの?」
遥「いや、何か、物足りないような気がしたから……」
巡「勝手に付け足さないよーにね。と言うことで、正解は千鳥式、でしたぁ」
遥「同じじゃない……」
巡「いやいやいや。千鳥足と千鳥式だと天と地ほどの差があるから。似てない、似てない」
遥「同じ! あたしが同じって言ったら同じなのっ」
巡「出た! ちからわざ、遥!」


駅名標・峠下  
 
幌糠(ほろぬか)駅
幌糠駅

●幌糠駅・車掌車改造駅舎が待ち受ける地域の玄関口

遥「峠下駅のご立派さに比べると、こちらのしょぼさはまた格別でございますね」
巡「そりゃ、まあ、そうだろうけど、きちんとした木造駅舎と緩急車の改造駅舎を比べたら可哀想すぎると思うんだよね、ボクは」
遥「ほうっ、キミはあたくしの敵なのだね?」
巡「え?」
遥「あたくしの意見に真っ向から対立するヤツなんて全員敵だ!」
巡「あの。勝手に敵認定しないでください……」


駅名標・幌糠  
 
藤山(ふじやま)駅
藤山駅

●藤山駅・駅事務室が取り壊されて、待合室だけに改築されちゃった?

巡「ここの駅の名前は明治時代の開拓商人、藤山要吉さんからとったそうだよ」
遥「駅の名前になるってコトは相当な人格者だったってことでよろしいかしら?」
巡「よろしいのじゃないかと思いますよ。ボクは」
遥「何で、キミはそんなに反抗的なのカナ?」(不思議そうに)
巡「え~っ! ボクは全くいつものとおりにフツーでございますわよ? と言うことで、
 藤山駅の駅舎は一風変わって建物の幅の割に高さがあるのはどーしてでしょーか?」(棒読み
遥「――それはね、元々あった駅事務所が取り壊されてしまって、待合室だけ残ったからでしょ。
 駅舎も藤山要吉さんからの大切なものだから壊さないでくれって町の人が頼んだのでこうなったとか、ならなかったとか……」
巡「あれ? なかなかどうして、よく知ってるじゃありませんか」
遥「馬鹿にしないでもらえるかしら。あたしだって、何にも知らないおバカさんじゃあないのよ」
巡「それはハツミミデシタ」(^^
遥「何だって? もう一度、言ってみろ~っ!」(怒


駅名標・藤山  
 
大和田(おおわだ)駅
大和田駅

●大和田駅・町外れの砂利道の向こう側

遥「え~っと、こっちは旧道なのかな。線路の向こうの道と比べて寂れた感が半端じゃない」
巡「むにゃ?」
遥「むにゃ? って、何ですか。むにゃ? って。……もしかして、寝てました?」
巡「寝てはイナイヨ。少なくとも」
遥「……。(いぶかしげな眼差し)ホントに寝てなかったなら、あたしの言ったことを言ってみて?」
巡「え~……。(考え込む)」
遥「ほら、やっぱり寝てたんじゃない」
巡「そんな事、ないない。ただ、きっと、まあ、遥の考えてそうなのはむこうと違って、こっちは淋しいなぁってコトでしょう?」
遥「あたり……」(ちょっと悔しそうに)
巡「ほほほっ、伊達に十八年も遥の弟をやっていませんよ!」
遥「それって、どういう意味?」
巡「うん? ナ・イ・ショ」


駅名標・大和田  
 
留萌(るもい)駅
留萌駅

●留萌駅・コミュニティFM放送局、FMもえる、放送基地

巡「昔は羽幌線の分岐駅でした。141.1kmの長大路線で、本線のはずの留萌本線よりも倍以上も長いんだよね。
 でも、あまりにお客さんがいなくて国鉄分割民営化の前にJR北海道に継承されることなく廃止されちゃったんだよね。
 一度でいいから乗ってみたかったな」
遥「ほー。キミが生まれる前の話だから、どのみち、無理だったとは思いますけど……?」
巡「そりゃそうだけどね。昔々、北海道の津々浦々に鉄道が張り巡らされていた時代を考えると……」
遥「昔は、昔はって。昔のことばかりね。今更、どうがんばってみたところで廃止路線には乗れないんだから、
 今のことを見つめてあげましょうよ?」
巡「だって、しようがないじゃない。鉄道が全盛を極めたのはボクたちが生まれるずっと前のことなんだから。
 おじいちゃん、おばあちゃんでなくても、昔話になっちゃうよ」
遥「でも……」
巡「でももだってもありません。現実は受け止めないとね」
遥「じゃあ、現実を受け止めた先にあるのは何なのか、ちょぉっと教えてもらえるかしら?」
巡「潔く現実を受け止めるとだね、駅舎の二階にFM放送局が入居するようになるんだよ」
遥「ほー、その心は?」(意地悪そうに)
巡「コミュニティーを大切にしよう!」
遥「は~、地域放送局というところをかけてみましたか。……お後がよろしくないようで……」


駅名標・留萌  
 
瀬越(せごし)駅
瀬越駅

●瀬越駅・目の前は海水浴場

遥「きゃ~~、道が細い~、狭い~」
巡「姉さんの腕にかかればこんなのちょちょいのちょいっ! でしょ?」
遥「ちょちょいのちょいって、物理的に限界があるでしょうよぉ」
巡「うん? 遥の腕なら、何てことないっしょ」
遥「いやいやいや。何をおっしゃいますか」
巡「え~~っ。じゃあ、こんなに大きな車に乗るの、やめちゃいなよ」
遥「え~~っ! いやいや。あたし、小さい車は乗ってると怖いからイヤなのよぉ」
巡「じゃ、諦めておとなしく丁寧に運転なさい。狭いと言っても、車幅より広いんだから、何てことないない」
遥「うぃ~~。もう、いいっ! 誰もあたしの気持ちをわかってくれないんだわ。このまま、目の前の海水浴場に飛び込んでやるっ!」
巡「車、さびるよ?」


駅名標・瀬越  
 
礼受(れうけ)駅
礼受駅

●礼受駅・ここって、どちらのお宅の庭先ですか?

巡「地味に小高い丘の上。そのままちょっと行ったら、駅のお隣さんの玄関口だね。
 と言うか、この細砂利道はそのお隣さんのための道のような気がしてきた」
遥「あたしもそんな気がしてきた。けど、コンクリート製の土台が残っているから、
 緩急車改造駅舎になる前はフツーの駅が建っていたってコトだよね?」
巡「そうだろうね」
遥「と言うことは」
巡「と言うことは? そんなにもったいつけちゃうと後で大変だよぉ。(にやり)姉さんのことだから、きっと、何も考えていない」
遥「そ、そんなことないっ!」


駅名標・礼受  
 
阿分(あふん)駅
阿分駅

●阿分駅・小学校の裏にありまして、見つからないよ、こんなトコ!

巡「ねぇ、遥。同じところをぐるぐる回って、今何週目?」
遥「三週目くらい? そろそろ、道路工事のおぢさんたちが不思議そうにこっちを見ているし。
 いい加減に見つけ出したいんだけどぉ……、ナビゲーターさん?」
巡「……。さすがに、広域地図で駅への入口を探すのは無理があるんじゃない? ま、それでもだいたいの位置取りは成功してると思うからぁ、
 そゆことなので、あとはおねーたまの土地鑑……というか、野生動物並みの勘が頼りなのです……よ?」
遥「うぃ~。ご期待にそえるようにガンバラセテいただきますわ」

            ~時間の経過~

巡「と言うことで、無事に阿分駅に着きました!」
遥「――! こんなトコ、絶対に見つけられない! だって、ガッコの真裏なのよ! 表の国道から全く見えないし、看板もないし、
 どーやって来いって言うのよ!」
巡「まあまあ、落ち着いて。……それにそもそも、鉄道で来るべきところだから」
遥「そこは突っ込んで欲しくなかった……」(がっくり


駅名標・阿分  
 
信砂(のぶしゃ)駅
信砂駅

●信砂駅・周りは意外と住宅街。プレハブ待合室が眩しいよ

巡「ここは意外にステキな待合室があるね」
遥「と言うか、留萠をすぎてからこっちの駅があまりにあまりだっただけだと思うんだけど……」
巡「否定はしないけれど……。ここと比べると他なんて……」
遥「まあ……その通りですわね」
巡「でしょぉ? 小屋に、緩急車改造駅舎、で、再び床は砂利の小屋。やっぱり、ここが一番立派だと思うんだよ」
遥「でも——、プレハブ小屋の待合室を見て立派だなんて、どんだけ切ないのよ。——いいこと、巡。きっと、
 まだ見ぬこの先の駅にはこの信砂駅よりもステキでものが待ち受けていると信じるのよ」
巡「信じてどうするの。と言いますか、このボクの事前調査によると……」
遥「あ〜っ! そこから先は言っちゃダメ! 行く楽しみが減っちゃうでしょ?」
巡「口頭で言ってもたいしたことないと思うんだけど……。と言うか、見つけられるかが問題なんだよね、終着駅を除いた最後の三つも」
遥「あれれ? あたしは何も聞かなかった。ううん、むしろ、何か言った? 巡」
巡「はぁ〜。。。都合が悪くなるとす〜ぐこうなんだから……」


駅名標・信砂  
 
舎熊(しゃぐま)駅
舎熊駅

●舎熊駅・駅前広場はだだっ広くて、かつての面影がひっそりと

巡「礼受駅の時も……、え〜と、他にもいくつかあったけど、旧駅舎の大きな土台の上に車掌車改造の簡易駅舎があるって言うのは切ないよね」
遥「そうよねぇ……。簡易駅舎にしてしまうなら、土台も壊して作り直したらいいのに」
巡「やっぱり、姉さんもそう思う?」
遥「そりゃあね。駅舎を新築しないくらいだから、必要以上にお金をかけたくないんだろうけど、何事も中途半端はダメだよね。いいこと? 弟くん」
巡「あのぉ。全くもって、意味不明なんですけど……?」
遥「普段は察しのいいキミも今回はダメなんですか?」
巡「ボクのどこが中途半端だって言うの? このっ! 完全無欠の巡さまをつかまえて」
遥「いや、キミのそゆとこだよ。そゆとこ」


駅名標・舎熊  
 
朱文別(しゅもんべつ)駅
朱文別駅

●朱文別駅・駅前に丸いものがごろごろしてた

遥「待合室のヨコにゴロゴロと転がってるあの丸いのは何かしら?」
巡「その丸いのは浮きだと思うよ。ほら、漁業で大きな網を使うでしょ? あれを浮かせているやつ」
遥「あ~、あれね、あれ! あの海水浴場とかにプカプカ浮いているヤツっ!」
巡「間違ってはないんだけど、微妙に間違ってるよね」
遥「また、そんな、細かいことを。こんなつまらないことをいちいち気にしているようじゃ、将来、つるっぱげになっちゃうわよ。
 もっと、おおらかにならないとね?」
巡「遥には言われたくないよ」


駅名標・朱文別  
 
箸別(はしべつ)駅
箸別駅

●箸別駅・資材置き場の延長線? 階段のぼって、ここ、駅ですか?

遥「え〜と。駅はどの辺かしら……ね?」
巡「う〜ん。この資材置き場みたいになってる空き地の奥の高台になっているところじゃないかな?」
遥「あっ! あの細い角材と土でできた階段のところ?」
巡「そう。行ってみよ」

            〜階段を上って〜

遥「むぅ……。待合小屋が朱文別駅とほぼ同じに見えるのは気のせいじゃないよね?」
巡「完全一致はしてなさそうだけど、九割方同じと言ってもいいだろうね」
遥「あたしが同じって言ったら、同じなのよ」
巡「また、その話? 遥もいい加減にしないと愛想を尽かされちゃうよ?」
遥「って、誰に?」
巡「誰にって、ボクにに決まってるじゃないか!」
遥「あらあら、アタクシにそんな口をきくと、ここの場所に放置していきますわよ」
巡「それはぁちょっと、ご遠慮いただければと……」


駅名標・箸別  
 
増毛(ましけ)駅
増毛駅

●増毛駅・増毛の聖地?

遥「髪の毛の少ない方の聖地だね。増毛」
巡「え~と、ぞうもうって読むんじゃないよ。ましけだよ?」
遥「わかってるわよ、そんな事!」
巡「いや、遥に限ってそんな事はない。絶対にぞうもうと読んだはず!」
遥「何なのよ、その、あたしの信用のなさは!」
巡「まあ、日頃の行いのたまものだろうね」
遥「それって、あたしがろくでもないやつみたいじゃない!」
巡「実際、そうでしょ?」
遥「きゃーーー。誰か、否定してくださぁい。あたしは善良な一市民なのよぉ」


駅名標・増毛  
 
 
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